危険な彼と危ない初恋


―――――・・・・・・・


沙良の話が始まった。


「私ね、本当はここの高校に来る予定なんか無かったの。知ってる?聖城中学校って」



私はこの言葉を聞いて息を飲んだ。


“聖城”・・・・・・・知らない訳がない。


だって、聖城中学校は桐が通ってたところだから。


でも、あそこはエスカレーター校だからそのまんま沙良も上に上がれたはず――・・・・・


「・・・・・・・うん。知ってるよ」


私は、でかかった言葉を飲み込んでそれだけを伝えた。


「そっか、なら話は早いね。私、そこに通ってたんだ。美羽も知ってる通りあそこはエスカレーター校だからそのまんま私も高校へ上がる予定だった。だけどね・・・・・・私、好きな人出来ちゃったんだ・・・・・・絶対に叶わないって分かってたのに・・・・・だけどね押さえられなかったんだ・・・・」


沙良の声がだんだんと、暗くなっていくのが分かった。


だけど、私は精一杯言葉を選びながら相槌をいれて沙良の話をきいた。


「・・・・・・それでね?私が好きになった人は皆の王子様なの。聖城中学校は、スポーツが盛んでしょ?彼もねスポーツをやっていたの。バスケなんだけどね」


――――バスケ。


その言葉を聞いたときには変な胸騒ぎがしていた。


凄く・・・・凄く嫌な予感がする・・・・・





< 52 / 74 >

この作品をシェア

pagetop