危険な彼と危ない初恋


「私は、一刻も速くその場を立ち去りたくて。走ろうとしたとき、彼は私を優しく抱き締めてくれたの。きっと同情してくれたに違いない。だけど、私はその時だけ優しい彼に甘えたの・・・・・」


ドクン・・・・ドクン、ドクン


私の鼓動がさらに速くなっていく。


凄く凄く凄く嫌な予感がする。


――――だけど、私は決めた。


この話を聞かなければ、きっと前には進めない。

そう思ったから。


私がここにいるのは、沢山の人。大切な人に後押ししてもらったお蔭。


私が、ここで話を聞かなければ絶対に私は後悔する。


ちゃんと、向き合わなきゃ―――・・・・・


このとき、なぜ私がこんなに桐のことを考えていたのか私が分かるのは、もうちょっと先の話。




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