人貸し屋



しばらくそのまま職場で

瓶の手入れをしていると

ドアを叩く・・・というよりは、

ドアに何か当たっている音がした



「・・・・・・?」



おそるおそるドアを開けると・・・

黒猫が1匹、そこにいるだけだった



「・・・・・・最初のお客は、猫ですか」



予想外の来客に一瞬身を引くが、

ドアを開けて迎え入れた



「・・・どうぞ、お入りください」



猫は、私の言ったことがわかるのか

静かに中に入ってきた



「にゃぁ・・・」



ソファに座った猫は

小さく鳴く



ただ、私は猫の言葉はわからない



「・・・食べ物、でしょうか」



「にゃー」



返事したと思ってミルクと

パンをあげるけど・・・

全く食べない黒猫



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