執事の戯言

「お嬢様!お待ちください!
そのご様子で行かれると、多分あの方が…」


いくら言っても、振り向いてもくれないところを見るとやはり、お怒りのご様子。


今まで様々な作法などの稽古をしてきたのにも関わらず、今目の前を走るお嬢様は、気品の欠片すら感じられないほど猛ダッシュで書斎に向かってラッシャル。


そんなお嬢様も可愛らしいが、これでは鬼長(メイド長)に怒られてしまう。


慌てて止めようとするが、追いかけるのが遅かったか、お嬢様は勢いよく書斎の扉を開けた。


「お父様、お話があります!
お時間宜しく…て」


あっ……といった感じで大人しくなるお嬢様。


そのご様子を見た限り、書斎の中に旦那様以外にもう一人、誰がいるのかは想像がつく。


「璃愛お嬢様、そんなにどたばたと
廊下を走るものではありません。
足音がこちらまで聞こえていましたよ?
もう中学生となられるのですから
女性らしさにもう少し気をつけるべきです」


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