矢刺さる先に花開く


一門の者たちが順番に清盛に祝辞を述べる。


経子の番になり、子等を伴って前に出た。


「重太、重次、重三郎。おじじ様の御祝いをなさい」


「はい。おじじ様、おめでとうござりまする」


重太に続いて、すっかり話せるようになった二人が「おめでとうござりまする」と続く。


孫を前に、清盛も顔を綻ばせている。


「重太はしっかりしたおのこじゃのう。重次も重三郎も、もう話せるようになったか」


「御義父上様のお陰様です故。…この子も、御祖父君に御祝いを申し上げております」


「左様か。大事にせよ」


経子は己の腹を撫で、清盛と微笑みあった。


その頃経子は重盛の四人目の子を宿していた。


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