矢刺さる先に花開く


「あの頃の私は粗相ばかりで、皆に迷惑をかけていました」


「えっ…?」


一門から尊敬される時子が昔は失敗ばかりだということは、経子には考え難かった。


「ふふ。されど、経子殿は誠にようできた妻故。心配なさらぬよう」


「い、いえ!粗相を致すことが多いかと思います故…」


(御義母上様には、いつも励まして頂いているわ…それに報いるような棟梁の妻とならねば)


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