矢刺さる先に花開く


元服したとは言えど、資盛はまだ全然子供と言える年齢だ。


「獲物を、見せてくれようとしたのであろう?資盛」


経子が優しく語りかけながら傷口を布で拭いてやっていると、重盛がやってきた。


「資盛――輿を降りなんだとは誠か」


父の問いに、俯く資盛。


「馬鹿者。摂政様にお会いしたら、輿を降りよと言うたであろう!」


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