矢刺さる先に花開く


(先ほどから、一人で何を…)


その後、清盛たちは一度こちらへ戻ってきた。


勝利を勝ち取ったとはいえ、重盛の弟の基盛は特に疲れた様子だった。


(戦とは、酷なものなのではございましょうが…)


そこまで思った時、経子は嫌なことを考えてしまったと、はっとした。


女、しかも公家の娘である経子には戦の過酷さは予想がつかなかったのだ。


(そういえば)


「あの…重盛さまは」


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