矢刺さる先に花開く


――そんな経子の願いもむなしく。


甥・平清盛の手により、平忠正は子と共に斬首となった。


重盛も、その場面をはっきり見たという。


目を逸らさずに。


(ああ……)


この世から、また命が消えてしまった。


無論悲しいことだ。


だが。


(重盛さまが…労しゅうござります…っ)


経子の目からは、ただただ涙が溢れた。


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