矢刺さる先に花開く
「私から御義父上様に申し上げさせて頂きたく…」
「経子。それには及ばぬよ」
「えっ?」
夫が微笑んで言った言葉の意味を経子は、すぐには理解できなかった。
「今、公卿の藤原経宗様と藤原惟方様がいらしておるのだ。父上と、帝をお救い奉る策を考えられておる」
「では……」
「成功すれば帝の命によりあちらを討つことができるやもしれぬ」
重盛は優しくそう言った。
「…実際、あちらを討つとなれば私は戦に出なければならぬ。もしもの時は、子等を」
「そんなこと……!」