死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん Ⅱ



「…そう。話してくれて、ありがとう」


すべてを話終えた頃には、動揺していた彼女もすっかり落ち着いていた。


「申し訳ないけど、この子を心配して探しているお姉さんがいるの。連絡してあげてくれるかしら?この町のパン屋の子なんだけど…」

「あ、はい。承知致しました」



リタさん今頃すごく心配しているだろうな。
でも、リーダが無事で本当に良かった…。


それにしても、一体城の中で何が起こっているというのだろうか。

こうしている間にも、何度か小さな爆発音が城の方向から聞こえてきていた。



リーダの傍に付いていてあげたいけど……




「ごめんなさい、私、城の様子を見てくるわ!」

「え?で、でも…今城は…」


メイドの子が戸惑いの声をあげる。


「あなたは、この子に付いていてあげて。連絡すれば時期にお姉さんもここに来ると思うから、それまでお願い」


何か続けて言おうとした彼女を振り切り、私は城に向かって走り出す。

途中、運ばれて行く人や兵士、使用人…と何人もの人とすれ違ったがその中に魔法使いもキングも見当たらなかった。



部屋からいなくなっていたキング。
そして、部屋を飛び出して行った魔法使い。


やっぱり、関わらずにはいられないわ!







走って、走って、(というか飛べば良かったのだけれど)森を抜け、やっと城の裏側に辿り着く。

ゼェ…ハァ…とあがった息を整えた後、私は人々の波に逆らって、城の中へと飛び込んで行く。



城の中はまさに大混乱状態だった。おまけにあちこちから煙が立ち込めている。
所々壁や床が破壊されている。

これは、一体…?
城が攻撃されているの?



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