やさぐれ女の純情
光り輝く大通りを外れ
一方通行の細い路地をしばらく進むと、咲樹は足を止めた。
「千駄っ!」
自分の名前を呼ぶ声に、俯き加減の顔を上げる。
すると、三本先の外套が落とす光の中に、突然、男が現れた。
上下黒のジャージにチェックの赤い綿入れをひっかけ、足元にはサンダル。
……素敵な装いだ。
その男は、無造作にゴムで束ねた少し長めの前髪を揺らし
携帯を持っている方の手を頭上で大きく振っている。
「…………」
間違いない。
あれは外套から降りてきた宇宙人だ。