恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
それから、私は一度作って失敗してから封印していたドーナツの作り方が載った本を引っ張り出して、せっせと練習をしていた。
それでもお菓子作りに手慣れてきた今は、だいぶ早い段階で本格的なドーナツを作れるようになった気がする。
「これ、武藤くんにもあげたら喜ぶかなぁ…」
シュークリームを食べた時の武藤くんの幸せそうな顔を思い出すと、思わず私の顔も綻んでしまう。
明日は塾だし、作って持っていってあげようかな。
ごめんなさい!先輩、優ちゃん…。
二人のために作っていたはずのドーナツは、いつの間にかものすごく丁寧にドキドキしながら作る大切な人へのプレゼントになっていた。