恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐

「ふーん…“きっかけ”ねぇ…」


「と、友達の話ですよ!
告白したいけど、どうやってしたらいいかわからないっていうから…!」



私の目の前に座る白衣姿の世良先生は、保健室の自分の椅子に深々と座って優雅にコーヒーを飲んでいる。

私は内心冷や汗をかいていた。



ニ学期も始まり文化祭の一週間前の今日、部活で作った甘さ控えめのアップルパイを持ってここへやってきた。


もちろんこのアップルパイは口実で、本当は恋愛の達人であろう世良先生に告白の秘技を伝授してもらおうと目論んできた……のだけど。


気が付いたら私は自分のことなのに友達の話だなんて嘘をついてしまっていた。

だって、いざとなったらやっぱり恥ずかしくて口が勝手に…!!


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