恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
焦る私とは対照的に、先生はアップルパイを一口かじって小さく頷き、こう言った。



「…まぁ、とっておきの秘技がないわけでもない」


「ホントですか!?」


「ただし、その友達が誰のことを好きなのか教えてくれたら教えてやる」


「えぇ!?」



な、なんでそんな好きな人の名前まで言わなきゃいけないのよー!?


…そんな私の不満げな表情を読み取った先生は、口の端を上げて悪戯っ子のように笑う。



「嫌ならいいぞ。そのかわり一生教えてやんない」


「そんなぁ~…!」



……結局、観念した私はテレビの音量1くらいの小さな声で、

「一年の…武藤くん、です…」

と白状してしまった。


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