雪幻の墓標
「では、私らはこれで」
ノイトラの配下の男たちは雪山に3人を降ろすと去って行った。
エフィに連れられリヴェズが謝罪すると、あっさりとノイトラは部下を使って自分の勢力範囲の外へ3人を送ったのだ。
「……言えなかった一言が、こんなに大きかったなんてね……」
――お父様と呼んで良いのですわね?
半泣きの声でそう言うと、ノイトラはリヴェズにしがみついて泣き始めた。
寂しかった。辛かった。
その言葉を聞くたび、リヴェズは彼女の頭を撫でた。
それをどれほどノイトラが欲していたか、考えるまでもなかった。
「ところでこれ……」
所在無げに、ウォルトが声を出す。
首には「予約済み」の札が鎖で繋がれていた。
裏にはノイトラの住所と名前がある。
「う~ん……」
ノイトラから離れた今、簡単に外せる。
「大丈夫。鎖がかかっていても僕の術で負担にならないよ」
恋だというなら叶えてやろう。
父親として最初の仕事だ。
満足げに、リヴェズはそう思うのだ。
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