今夜 君をさらいにいく【完】
これは夢ではない。
私は再び黒崎さんの胸元へと飛び込んだ。
「黒崎さんじゃなきゃ嫌です!」
そう言う私を、両手で力強く抱きしめてくれた。
「俺はな、お前と暮らそうかと考えていたんだ」
「・・・え?」
黒崎さんは私を膝の上に乗せて、後ろから抱きしめながら言った。
「もちろんお前の妹も一緒にな。借金は俺が払って、お前はもう夜働かなくてもいいようにしたかった」
「黒崎さんそれって・・・」
私が振り返ると、黒崎さんは笑って、
「結婚を前提に付き合ってほしい」
と、私の頬にそっと手を添えた。
私は聞き間違えたのかと思い、もう一度聞き返すと、今度は優しく口づけしてきた。
そして、そのまま黒崎さんの唇は私の頬から耳元へと移動し、
「結婚してくれ」
ささやかれるように、耳元でそう言われた。
「私なんかで・・・いいんですか?」
「ああ、お前がいいんだ」
「ど、同情とかじゃ・・・ないですよね?」
あまりにも都合よく話が進むものだから、どっきりなんじゃないかと思ってしまう。