溺愛カンケイ!

言われた通りに資料を纏め拓也さんのデスクに書類を置いた。
壁時計を見ると19時。まだ拓也さん帰って来ない。

この時間なら電話しても大丈夫かな。
携帯を取り出し拓也さんのアドレスを呼び出した。

………出ない、留守番電話になるだけ。
どうしたんだろう…。まだ仕事中なのかな。


「あれ?花音ちゃん残業してたの?」

頑張るね、と田中主任。

「はい、課長に頼まれた書類を纏めてたので」

「その課長は?」

「あの、お昼過ぎに一緒に行った営業先からまだ戻ってきてません」

喋りながらデスクの上を片付ける。


「そうなんだ。ねぇ、花音ちゃんご飯食べに行こうよ。お腹空いたでしょ」

「えっ、でも…」

「ご飯食べに行くぐらいいいでしょ?ダメ?」


田中主任は眉を下げて悲しそうに言うので根負けした。

「…分かりました。あの、蓮にぃは?」

さすがに二人きりたっ食事は出来ない。

「おっ、行く行く。いいですよね、主任」

「はぁ…二人きりを邪魔するなよな」

「そんな事言わずに行きましょう」

蓮にぃが率先して私たちの背中を押すように営業フロアを出た。

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