溺愛カンケイ!

「金沢…お前新入社員のくせに生意気」

田中主任は歩きながら溜息をつく。

「花音ちゃん、何食べたい?」

「俺はイタリアンがいいです」

「金沢、お前には聞いてない」

「えっ、ひどいっす」

蓮にぃは少し口を尖らす。

「私もイタリアンでいいですよ」

蓮にぃの援護をしてみる。

「そう?じゃあ行こう」


私たちは三人で歩き出すと突然、主任が指をさしながら

「あれ、あそこにいるの河野課長じゃない?」

「どこですか?って、あ~女連れですね。彼女ですかね」

えっ、女連れ?

視線を向けるとそこには拓也さんと拓也さんに腕を絡め楽しそうに歩いてるブランド品に身を纏った綺麗な大人の女の人。

「うそっ…」

思わず口を押さえる。


「へぇー課長って彼女いたんだ」

「主任、知らなかったんですか?」

「んー、課長は秘密主義だからね」


主任と蓮にぃの話し声なんて全く耳に入ってこない。

ご飯を食べても何も味もしなかった…。


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