溺愛カンケイ!

「あの、出来ました」

書類を差し出すとそうか、と言って受け取った。

一瞬にして厳しい顔つきになり書類を一枚一枚チェックしてる。
ミスはしてませんように…と祈る気持ちで課長の手元を見ていた。


最後の一枚を机に置き、課長はその紙の束を纏めて机の上でトントンと揃え私を見上げ


「小林、今度は完璧だ。お疲れさま」

フッと微笑んでくれた。


「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしました」

やった!心の中でガッツポーズをした。

ペコッと頭を下げ自分の席に戻り
はぁ~、よかったと一息ついてると


「お疲れさまで~す」


営業フロアに明るい声が響き
田中主任と蓮にぃが営業先から戻ってきた。


「あっ、花音ちゃん残業してんの?」

私に気付いた主任が名前のプレートを裏返しながら声を掛けてきた。


「はい。でもやっと終わりました」


そうなんだ、と言いながら田中主任は帰り支度をしてる私の方に近付いてきた。

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