溺愛カンケイ!

“またあとで”か…。
その事を考えると気が重くなる。


パンパンと控えめに汚れを払って椅子に座ろうとした時に拓也さんと目が合った。

ドキッ…、

やっぱり今の見られてたよね、派手に椅子を倒したし。
苦笑いしながら座り直した。


仕事を長引かそうか…なんて邪な気持ちもあったけどそういう訳にもいかず。

何せ課長に提出する書類だし。


「課長、チェックお願いします」


出来上がった書類を課長に渡すとパラパラと書類を確認しながら、小林ちょっとこれ見て…なんて言うので少し屈んで書類を見ようとしたら


「場所は後でメールしろよ。それと近付きすぎだ」

耳元で囁くから顔が真っ赤になる。


「よし、これでいい。お疲れさん」

「はっ、はい。失礼します」


顔が熱い。不意打ちはダメだよ。

課長の側からそそくさと離れ席に戻ると机の上を片付けパソコンの電源を落とした。


はぁ、いよいよか…。

深呼吸し田中主任の席に向かった。
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