溺愛カンケイ!

「それじゃあ、俺は先に帰りますね。あ、ここは課長の奢りで頼みますよ」

主任は立ち上がり帰り支度を始めた。

「あぁ、」


「そうだ、花音ちゃんこれからも今まで通り俺と接してくれる、かな?」

扉に手を掛けながら聞いてくる。


「はい…、もちろんです」

そんなの当然です。寧ろ、こちらからお願いしたいぐらい。


「よかった。何か振られたけど清々しい気分だな。俺、生まれて初めて失恋を経験したよ」


クスクス笑いながら田中主任はおどけたように言ったあと、ふっと顔を引き締め


「課長、もし花音ちゃんを泣かすような事があったら…その時は俺、奪いますからね」

へっ…。

「田中…、そんな事は絶対にないから安心しろ」

拓也さんはキッパリ言う。


「ハハッ、課長は花音ちゃんにベタ惚れっすね。じゃ、失礼します。また会社でね、花音ちゃん」


田中主任は手をヒラヒラと振りいつもの王子様スマイルを見せて部屋から出て行った。

< 296 / 332 >

この作品をシェア

pagetop