七夕の星に
『やっぱり…会いたいな』
七歌は哀しげに顔を歪めた。
そして手に持っていた“シロツメクサの冠”を胸に抱いた。
暫くの沈黙の末、七歌は言う。
「…あた、しも…会いたい…な…」
伏し目がちに呟いたその言葉は、酷く震えていた。
『…さびしいよ』
「…うん」
それぞれ閉じ込められた空間で、二人は過ごしていた。
その空間から出られるのは、年に一度の七夕の日だけ。
何故かはわからないし、知りたいとも思わない。
お互いが傍にいれば、二人はそれだけで良かった。
“約束のシロツメクサ”を媒介として、前まではできなかった会話をする二人の距離は、毎日確実に縮んでいたはずだった。
けれど、土砂降りの雨はそんな二人の距離を簡単に引き離した。