君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~
男はいきなり、顔を近づけて来た。




!!イヤ!もしかしてキス!?




この男、どんだけ軽いわけ!?




あたしが手を振り払おうとしてもビクともしない。




「やめ…!!」




その瞬間、とてつもなく鈍い音が響きわたった。



空斗が男の頬を平手打ちした音だった。



「お前、何、人の女に手だそうとしてんだよ!!!」




「行くぞ!」




空斗はあたしの手を力強く握りしめた。




すごく怖かったはずなのに、空斗に手を握られた瞬間、恐怖が一瞬にして吹き去った。
< 32 / 234 >

この作品をシェア

pagetop