シークレット ハニー~101号室の恋事情~


これ以上この話題を広げたくないし引っ張りたくないのに。

顔上げると真面目な瞳が私を見ていて、彼がふざけて聞いているわけではないんだと分かる。

野田みたいに、挨拶か!ってくらいに軽く言われるのもイヤだけど、こんな風に真面目に聞かれるのもなんだかなと思って、苦笑いがもれた。


「いいんです。別に……そこまで気にしてるわけでもないし」
「さっき外でもめてたのって、元カレ?」
「高校の時付き合ってた人です。
高校三年の時に別れたけど、職場が一緒になっちゃって。
今日は彼を含めた社員の歓迎会だったんですけど、なんかついてきちゃって、追い返そうとしていたら苦情を受ける羽目になって」
「高校の時……もしかして初めての彼氏って事?」
「……まぁ、そうです」


初めての彼氏って認める事で、初えっちの時期を教えてる気分になって気恥しく思う。
普段ならそこまで考えないけど、不感症だとかの話をしていただけに恥ずかしい。

誤魔化そうと紅茶に逃げていると、眉をしかめた五十嵐さんが言う。


「それって、あの男が下手だっただけじゃなくて?」
「……それは分かりませんけど」




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