シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「なんですか……これ」


重い気持ちのまま辿りついた監査課室。
出社時間よりもかなり早めに着いたからか、社内はガランとしていて、誰にも会う事なく課までくる事ができたのはよかったのだけど。

部屋に入ろうとしたところを部長に止められて、ちょっといい?なんて人事部応接室に呼ばれてしまって。
応接室に着くまでの間、部長はずっと無言だし、頭の中には嫌な事ばかりが浮かんでいた。

応接室は、異動になった時に呼ばれた部屋だ。
っていう事は、五十嵐さんか私がまた異動なんだろうかとも思ったけれど。
野田にバラしたのは昨日の夜の事だし、まだ社内に噂は広まってないはずだ。

じゃあなんだろうと思っていたところでついた応接室。
中に入ると、テーブルの上には一枚のポスターが置かれていて、ああ今年度のポスターか、なんて思って何気なく見て驚いた。

信じられない思いで見ていると、部長が自慢げに笑う。



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