シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「いい映りだろう。さすが一時でも芸能界にいたやつは写真映りとオーラが違うな」
「なんで、五十嵐さんがポスターに……?」
「なんでって、うちの会社もたまにはタレントをポスターに起用しようって話になって……。
篤志から聞いてないのか?」
「はい。ポスターの事なんて一度も……」
「元々、ポスター起用が入社時の条件でもあったんだよ」
「えっ……」
「まぁ、もうタレントではないわけだからそこまで無理にってわけでもなかったんだが、話してみたらオーケーの返事をもらってね。
驚いたよ。そういう活動は元々好きじゃないのは知っていたし、てっきり断られるかと思ってたから」


そう笑う部長を、信じられない思いで見つめる。

だって、五十嵐さんは芸能界って場所に絶望して引退したんじゃなかったの?
妹さんとの記事を載せられたりして、嫌気が差したから……。

なのになんで、トラウマを思い出すような事をするんだろう。


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