インディアン=スノー=ディ
「ねえ。」

彼女が振り向いて、
ぼくとちえちゃんを呼んだ。


ドクン。

また、
心臓が鳴った。


「ちょー、いーい空気だね。
冷たさがさ、
ちょうどいい。」

彼女はかまわず続けた。

「こうやって、
歩きたくならない?」


両腕を平泳ぎするように広げて、
跳ぶように、彼女は歩いた。


「やめてよねー。
恥ずかしい。」

ちえちゃんが笑った。


自分のいいトコも、
嫌なトコも、

全部ひっくるめて、

まるごと
自分が好きだよ。


昼間、
真直ぐな瞳で、
そう言い切った彼女を
思い出しながら、

ぼくも笑った。
< 40 / 120 >

この作品をシェア

pagetop