桜涙 ~キミとの約束~


奏ちゃんとは、私たちのもう一人の幼馴染、柏木 奏一郎(かしわぎ そういちろう)の事。

同じ高校だけど、奏ちゃんは一学年上の二年生だ。

そんな奏ちゃんはケーキ家さんの息子で、たまにおすそ分けをもらえるんだけど、どうやら今日もそうみたい。

喜ぶ私に「相変わらず食いしん坊だなー」って言いながら笑顔になったリク。

「次、お前んとこ教室移動だろ?」

「あっ、そうだった!」


すっかり忘れていた私は慌てて教科書やペーンケースをまとめる。

教室内はすでに数人のクラスメイトしか残ってない状態で、私が立ち上がるとリクも立ち上がった。

身長156センチの私より20センチほど高いリクを少し見上げると、彼は目を細め表情を緩める。


「ほら、急げ」


促されて私は、リクに「また放課後ね」と告げ、彼よりも先に教室を飛び出した。

途端、校内に響き渡るチャイムの音。


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