もうひとつの恋
この関係が居心地良すぎて、このままでもいいんじゃないかって……

俺がそんなことを頭の中で悶々と考えていると、結衣がスッと立ち上がった。


「じゃあ、結衣……そろそろ行くね?

これから彼と結婚式のドレス選びに行くとこだったから」


「そっか、悪かったな?
引き止めちゃって……

結衣のウェディングドレス姿、綺麗だろうな?」


彼女の花嫁姿を想像すると、急に結衣が結婚することが現実味を帯びる。


「まあね?純ちゃんには見せてあげないけどぉ」


彼女は憎まれ口を叩きながら、フフッと笑った。


「わかってるよ。

見せるのは大好きな彼氏だけなんだろ?

早く行ってやれ」


「うん!じゃあね!

純ちゃん元気でね!」


ヘヘッと幸せそうな笑みを浮かべながら、結衣はいつまでも俺が見えなくなるまで手を振り続けてる。


俺もそれに応えるように、結衣の姿が見えなくなるまで手を振った。


結衣が雑踏の中に紛れて見えなくなる。


俺は一つの区切りを迎えたような気がして、これからの自分を変えていくいいきっかけになったと、結衣に深く感謝した。

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