もうひとつの恋
少し煮詰まったコーヒーをカップに注ぎながら、さとみさんのことを思った。


焦ること……ないか……


今まで充分待ってきたんだから……


その時が来るまで、この関係を育めばいい。


結衣に背中を押されて、少し焦っていたけれど、俺はせっかくここまで築き上げた関係が壊れてしまうことの方が怖かった。


たぶん、さとみさんはまだ俺を男としては見てくれていない。


それどころか、さとみさん自身も俺との今の関係を壊したくないと思ってるんじゃないかと感じることがある。


ふとあることに気がついた。


彼女は俺の気持ちを知りながら、知らないふりをすることで、この関係が続いて欲しいと思ってるんじゃないだろうか?


その証拠に彼女は俺と二人きりにならないように細心の注意を払っている。


だからいつも美咲さんがいたのかもしれない。


そう改めて気づく。


脈がないってことなのかな?


残っていたコーヒーを一気に飲み干しながらそう思う。


それでも、今はさとみさんに会いたい。


俺は嫌な感情を振り払って、日曜までに終わらせなきゃならない仕事を再開せた。


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