もうひとつの恋



いつもより一時間も早く目が覚めて、俺はもうすっかり支度が出来てしまっていた。


いつでも出かける用意が出来ているのに、約束の時間までまだあと1時間もある。


どうしたもんかとウロウロしながら、俺は落ち着かない時間を過ごしていた。


今日はまず健太と動物園を楽しむことを心がけよう。


さとみさんに気持ちを伝えることにばかり気をとられて、健太を悲しませるようなことはしたくない。


たぶん、健太は帰りの車で疲れて寝ちゃうだろうから、チャンスがあるとすればそこだな……


そんなことを考えながら、ひとまずコーヒーでも飲んで落ち着こうとキッチンに向かった。


朝のまま保温してあった煮詰まったコーヒーをカップに注ぐ。


一口飲んで、ふぅ~と息を吐くと、肩の力が抜けていくような気がした。


チラッと壁にかかっている時計を見て時間を確認すると、あと30分くらいでようやく約束の時間になりそうだ。


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