もうひとつの恋



得意先からの帰り道、天気がいいので課長と二人、駅まで歩いていくことにした。


雲一つない青空に思わずうーんと伸びをしながら、横にいる課長に話しかける。


「すげー、いい天気ですねぇ

気持ちいいー!

たまには歩くのもいいっすねぇ?

もうすぐ桜、咲きそうだなぁ」


なんの反応もない課長をチラッと横目で見てみると、こんなに明るい天気とは対照的に、どんよりと暗い雰囲気を醸し出して、何か考え事をしているように見える。


絶対こないだのあれだな……


こないだ仕事帰りに友達の相談に乗ったとかいう件で、課長が何か悩んでいるんじゃないかと俺は思った。


だから言ったのに……


友達って絶対女だよな?


俺は課長を心配しつつも、その先にある奥さんのことが気になってわざと嫌みっぽく言った。


< 37 / 432 >

この作品をシェア

pagetop