もうひとつの恋
得意先からの帰り道、天気がいいので課長と二人、駅まで歩いていくことにした。
雲一つない青空に思わずうーんと伸びをしながら、横にいる課長に話しかける。
「すげー、いい天気ですねぇ
気持ちいいー!
たまには歩くのもいいっすねぇ?
もうすぐ桜、咲きそうだなぁ」
なんの反応もない課長をチラッと横目で見てみると、こんなに明るい天気とは対照的に、どんよりと暗い雰囲気を醸し出して、何か考え事をしているように見える。
絶対こないだのあれだな……
こないだ仕事帰りに友達の相談に乗ったとかいう件で、課長が何か悩んでいるんじゃないかと俺は思った。
だから言ったのに……
友達って絶対女だよな?
俺は課長を心配しつつも、その先にある奥さんのことが気になってわざと嫌みっぽく言った。