もうひとつの恋



「パパァ~、あしょこのしゅべりだいんとこ、いきたい~」


萌音が俺の手を引っ張って、最近のお気に入りである滑り台に行こうとしている。


三歳になったばかりの娘はようやくパパと呼んでくれるようになった。


そう呼んでくれるだけで、何でもしてあげたくなてしまう。


目尻を下げながら萌音を抱き上げると、頬と頬をくっつけてすりすりする。


すると萌音は嬉しそうにされるがままになっていた。


「ねえ……

にやけすぎだから!」


二人の仲良し気分を遮るのは、もちろん美咲だ。
こっちのご機嫌もとらなきゃならないんだから、モテる男は辛い。


「ん?なんだよ

美咲もしてほしいのか?」


甘い笑顔でそう微笑めば、美咲は耳まで真っ赤にして顔を背けた。


「バカじゃないの!?

そんなわけないじゃない

にやけすぎて顔がヤバいって教えてあげてんの!」


相変わらず、こういうところは変わらないなと思う。


いつまでも変わらないウブなところが、可愛くて仕方ない。


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