睡蓮花と愛


「“睡蓮“の花言葉はね
“純粋“ってとっても素敵な意味があるの

お父さんとお母さん、その花言葉がすごく気に入っちゃって…」


うふふ、
と微笑みながら言うお袋は綺麗だった


「それで最初は“睡蓮“ってつけようとしたけど……変でしょう?

だから純粋のイメージがある“白“と
睡蓮の“蓮“を組み合わせてね

“蓮白“
って名前にしたのよ」


「じゅんすい…」

「そう、純粋…」


俺は、庭の花をじっと見つめた
そしてお袋の言葉をずっと繰り返した

自分の名前にこんな大きな意味があることが思っても見なかった…

同級生にバカにされて
自分の名前が嫌いだった…


だけど今好きになれた


そしてお袋に言った


「蓮白ってつけてくれてありがとう」

「っ!」

「俺、自分の名前嫌いだった…
でも!お袋の話聞いて大好きになった
ありがとう!」

感謝の気持ちをお袋に言ったら
そしたら大きな手が俺の頭を撫でた

くしゃっ

「わっ!」

顔をあげたら微笑む親父の顔…


「蓮白…お前は
純粋に人を愛せる男になれよ」

「うん!」

素直に頷いた、当時の俺


幸せだった家族
幸せだった日常

まさかあんなことが起きるなんて
予想もつかなかった



俺たちの幸せは音をたてて


崩れ始めた




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