虹色の恋人
2章
キーンコーンカーンコーンと学校の授業が終わる合図の音が鳴る。私は今日は掃除当番だったので20分ほど掃除した。ついてないと思ったが頑張らないとと思い掃除をする。頑張った成果か普段より早く終わり学校を出る。靴を取り校舎を出ようとする。すると私が出る時間を狙ったかのように雨がザーッと降ってきた。傘立てを見るが傘立てに残っている傘などない。
「え、雨…傘持ってきてないのに…」
と言い濡れて帰ることを決意して走りだそうとした。すると、手を捕まれた。払おうと思いブンブンと手を振る、が、手を捕まれた、ままだった。ふと聞き覚えのあるやわらかく優しく私を包んでくれる声がした。
「莉子、一緒に入るか」
その声が光輝の声だとわかった時、安心して腰から下の力が抜けてガタリと崩れてしまった。まいごになっていた幼児がもうにどと親に会えないかと思っているとむこうから再び親が現れたようにほっとして口が半開きになる。
「莉子、大丈夫か」
と、言った後、光輝は私をおぶった。
「下ろしてよ、光輝」
と言って下ろしてもらうように頼んだ。恥ずかしくて恥ずかしくて顔から火がでそうだった。誰か友達に見られたらどうしようということで頭がいっぱいだった。光輝は莉子の気持ちもわかっているがおぶれているという喜びで笑顔で言った。
「いや」
と言って下ろしてもらえなかった。バタバタと足を動かすが下ろしてもらえない。拗ねた感じにしても下ろしてもらえずあきらめておとなしくした。すると大毅の暖かさが制服を通してだが伝わってくる。ウトウトとしてしまったが寝てはいけないと思い、必死で目を開く。しかし光輝の背中で眠ってしまう。光輝の背中は柔らかな温かさで歩くたび車のような寝心地のよいわずかな揺れがあった。光輝は私が寝たことを確認して一度立ち止まり私の顔を見てこう言った。
「莉子は本間可愛いな、大好きやで」
と言ってまた歩き出した。
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