恋愛ゲーム〜ニセモノかホンモノか〜
ユウと廊下ですれ違った。


「やっぱ男いるんじゃん」


すれ違い際にユウがボソッと言った。


私は走った。


今までにないくらい速く。


また屋上に。


フェンスを乗り越え、そこに体育座り。


死のうと思ったわけじゃない。


叫びたかったわけじゃない。


ただ、一人になりたかった。


この場所では、一人になれる気がした。


この時は――



だけど、私の後ろにユウがいる気がして―


私の前にユウがいる気がして―


私の隣にユウがいる気がした―


「ハハ‥全然ダメじゃん‥私‥」


ふらっと足場のない所へ歩きだした。
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