朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
暁が寝台へ向かった。


薄絹の天蓋を開けると、ドカリと寝台の上に座った。


片方の膝を曲げた状態で座り、柚を蠱惑的な瞳で見つめる。


口角を上げ、柚を誘うような色気のある表情に、柚の瞳は魅入られ胸がドキドキした。


「おいで」


 暁が両手を広げて待っている。


優しくも、どこか官能的に聞こえる声の響きに、柚は身体が熱くなるのを感じた。


 暁の胸の中に滑り込めば、きっと抱きしめられて唇を塞がれる。


昨日のように蕩けるような激しいキスになるかもしれない。


柚はゴクリと唾を飲み込んだ。


 それを分かっていながら、柚は暁の元へと一歩足を踏みだした。
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