朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
 貴次の唇は冷たかった。


無理やり唇を奪われて、柚は全力で抵抗した。


けれど貴次は暴れる柚を押さえ込む。


「や……っんっっ、やだ!」


 柚はガリっと貴次の唇を噛んで、貴次から離れた。


 柚が肩で息をしながら貴次を睨みつけると、顔を上げた貴次の唇からは赤い血が浮かんでいて、貴次はその血を舌でペロリと舐めると、冷たい微笑みを浮かべた。


「あなたは必ず私のものになる」


 暁も最初同じようなことを言っていたけれど、こんなに冷たく怖い印象ではなかった。


柚は唇を手の甲で拭き、貴次と一定の距離を保ちながら、背中にゾクっとした寒気を感じた。
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