朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
貴次の瞳が鋭く柚を捕えた。


柚は、貴次が言わんとしていることが分からなかった。


そして急に態度や雰囲気が変わったことに戸惑っていると、貴次が柚の手首を掴んだ。


「私はあなたになぜかとても惹かれる。

帝があなたに執心になるのを不思議な思いで見ていたが、あなたを知れば知るほど、帝の気持ちも分かる」


 柚の手首を掴む貴次の握力が強くなって、柚は眉を顰めた。


振りほどこうとしても、振りほどけない。


そして貴次は柚の手首を引っ張り、貴次の身体に寄せた。


「私のものになりなさい」


 貴次の冷たい瞳に見下ろされ、鎖で全身を巻かれたように身体が動かなくなった。


そして、貴次は勢いよく柚の唇を塞いだ。


「んんっ!」
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