朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
それから二人揃って貴次の稽古を受けた。


貴次は昨日のことなどおくびにも出さなかった。


それなので柚も昨日のあれは何だったのだろうと思いながらも稽古に集中することができた。


 途中、約束通り稚夜に教えたりもして、あんなに気が重かったのはどこへやら、楽しく過ごすことができた。


 そんな中、柚を驚かせた出来事があった。


貴次が笑ったのである。


 稚夜は勉強はできるが、身体が弱いせいか運動が苦手なようで、今まで嫌々ながら剣の稽古を受けていたのだが、柚も一緒に参加することになり、稚夜の意欲が増して今まで上手にできなかった打ち込みが様になるようになったのである。


 稚夜はとても嬉しそうに「どうだ!」と満面の笑みで貴次に言うと、貴次もとても嬉しそうに「さすがでございます、稚夜様」と言った。
< 128 / 342 >

この作品をシェア

pagetop