朱雀の婚姻～俺様帝と溺愛寵妃～

暁はそっと稚夜の居所に入り、広大な庭院を覗いた。


するとそこには、稚夜と柚が並んで木刀を振っており、その前には腕を組んで立っている貴次がいた。


暁は声を上げられないくらいの衝撃が身体を駆け巡った。


　自分の想像の範疇を越える光景に、暁は思わずクラリとした。


しかしすぐに体勢を立て直し、威厳ある態度で庭院に降り立った。


「そこで何をしておる！」


　暁の怒声が響き渡る。


三人はびっくりして、一斉に暁の方を向いた。


(げぇぇ！ バレた！)


　暁の登場に一番狼狽えたのは柚である。


慌ててどこかに隠れようとしたものの、柚のいた場所は庭院の真ん中で、垣根や生垣などは少し遠かった。


柚は真っ青になりながら、右往左往して、とりあえず顔を隠せばなんとなる！ と思って暁から背を向けてしゃがみ込んだ。


　暁から見れば、もうそこにいるのは柚だと分かっていたし、頭を伏せてしゃがみ込んでも何の意味もなかった。


まさに頭隠して尻隠さず。


だいぶ間抜けな光景だった。