朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「それじゃあ、有難く俺様の命を受け取れ」


「うん、朱雀、ありがとう。一生感謝するよ!」


 無邪気に喜ぶ柚を見て、朱雀は悪戯心がむくむくと湧いてきた。


「よし、柚、目を瞑れ」


 今まで朱雀は柚のことをお前と呼び、名前で呼ぶことはなかった。


初めて名前で呼ばれたということに全然気が付いていない柚は、従順に目を瞑った。


「こうか?」


「ああ、そうだ。そのまま顔を少し持ち上げろ」


 疑うことの知らない柚は、目を瞑ったまま顎を少し前に突き出すようにして顔を上げた。


無垢で無防備な様子の柚を見て、朱雀はバレないようにくくっと笑った。


「そのまま、じっとしてろよ」


 柚は朱雀に言われた通りに、固く目を瞑り顔を上げたままずっと待っていた。


キスをせがむような顔になっているのに、柚は全く気がついてない。


朱雀はこれは手間賃だと心の中で呟き、ゆっくりと柚に近寄ると、柚の肩を掴み顔を寄せた。
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