朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
柚は目をぱちくりとさせ、驚いていた。


命を貰うなんて、そんなことできないと思っていた柚だったが、朱雀にとってはそこまで大変なことでもないらしい。


柚は期待に満ちた顔になっていったが、やっぱり不安で恐る恐る聞いた。


「本当に……いいのか?」


「別にいらないならあげないぞ」


 朱雀はぷいと顔を背けた。


「待て待て! 欲しい! 欲しいです!」


 柚は慌てて食いかかった。


普段、朱雀のことを敬う様子を欠片も見せない柚なのに、敬語で懇願してきたので、朱雀は少し得意げになった。


「でも命をくれるのは嬉しいことだけど、なんで私に……」


「さあな、なんでだろうな。長年生きてると時々気まぐれを起こしたくなるのかもしれない」


 朱雀は不敵な笑みを柚に投げかけた。


その笑顔があまりにも魅力的で、柚は一瞬ドキリとした。
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