朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
しかし暁の喜ぶ顔を想像する一方、由良は気がかりなことがあった。


侍女の身分としてたずねていいものか迷っていたが、思い切って聞いてみることにした。


「お二人はとても仲がいいように見えるのですが、どうして最近は一緒に寝ないのですか?」


 そう、これまで夜を共に過ごしてきた二人だったが、ある晩から急に暁が柚の部屋を訪れなくなった。


喧嘩でもしたのだろうかと思っていたが、昼間の二人はとても仲が睦まじく、傍から見ても愛し合っているのがひしひしと伝わってくる。


それなのになぜ夜を一緒に過ごさなくなったのか。


由良はずっと心を痛め、気になっていた。


「ああ、それは、婚儀が終わるまでは一緒に寝ないって暁が言うから……」


「帝がそうおっしゃられたのですか!?」


「うん、私はこれまで通り一緒に寝たいんだけど」


 柚はしょんぼりと項垂れて言った。それを聞いた由良は、再び悪い妄想が頭を支配した。


(まさか、やっぱり帝は女性を抱けないご病気なのでは!?

平和になった宮内で、帝は昔、女たらしだったと聞いて、わたくしは大きな勘違いをしていたと衝撃を受けたけれど、実はその噂こそが嘘で、やっぱり帝は陰萎(いんい)なのだわ!

それを隠すために帝は共寝を拒否し出したのね。

かわいそうな柚様。

何も知らないで。

ここはやはりわたくしが帝のご病気を治し、柚様を幸せにしてやらなくては!

柚様のためなら、不肖由良、何がなんでも頑張りますわ!)
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