朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
二日目は、「奉告の儀」で使った社殿の広大な庭に、青廬(せいろ)と呼ばれる天幕の下で結婚式が行われた。


柚は天女のような華やかな衣装を身に纏い、真紅の絨毯の上を20人の従者を連れながらしずしずと歩く。


周りには、稚夜と天皇家の遠い親族や高官、地方の豪族が見守っている。


そして、たっぷり時間をかけて二十米突の絨毯を歩くと、青い幔幕の下に吐蕃の衣装を着た暁が優雅な佇まいで柚を待っていた。


その眼差しはとても優しげで柚を心から愛しているのが傍にいる人々の目にも明らかだった。


暁を見上げ、少し恥ずかしそうに頬を赤らめた柚はとても可憐で、思わず感嘆の声がどこかしこから上がるほどだった。


柚の後に続いて歩いていた従者たちは、二人から離れ誓いの儀式を見守る。


二人が手を取り合い誓いの言葉を述べて、晴れて正式な夫婦となると喜びの歓声が上がった。


 しかし、二人は夫婦になったにも関わらず、まだ婚姻の儀は終わらない。


二人きりになることは許されず、寝所も別々だった。


 そして最終日、婚姻の儀の山場、披露宴が盛大に行われた。
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