朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
二日間とも使われた社殿を開け放し、広大な庭には沢山の楽隊や踊り子が宴を盛り上げていた。


社殿内は豪華な屏風や衝立が置かれ、祭壇以外何もなかった部屋が華やかに装飾されている。


そこに美しく着飾った柚と暁が座り、庭で行われる祭宴を観覧するのである。


宴には、誓いの儀式に参列した天皇家の親族や高官も特別な席が設けられ、一緒に観覧している。


また、誓いの儀式に来られなかった地方の豪族たちが続々とやってきて、沢山の祝いの品々が贈られた。


それらは大きな社殿内に運ばれ陳列されるのだが、宴が終わる頃には社殿内が贈り品でいっぱいになるほどだった。


 豚が何匹も丸焼きにされ、豪華な食べ物が柚と暁の前に並べられる。


お酒もどんどん注がれたが、柚は少し口をつけた程度で全く飲めなかった。


しかし、隣に座っている暁は、とても上機嫌にお酒を飲み続けていた。


どうやら暁はザルのようで、いくら飲んでも酔い潰れるということはないらしい。


婚姻の儀式の三日間、まともに話す機会がなかったので、二人は折を見て話そうとするのだが、いつも邪魔が入って話すことができなかった。
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