朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「俺様の声が聞こえるのは朱雀の巫女だけ。
俺様はお前にほんの少しばかり力を貸してやることができる。
俺様の力を貸してやるんだから、もっと色気のある女だったらやる気も上がるんだが、まあ仕方ない。
古(いにしえ)からの理(ことわり)だ。
俺様も最近、今の生活に飽きていた所だった。
何しろ何千年も生きてるとやることがなくなるからな」


「ま、待ってくれ。言ってる意味が全然分からない」


「さあ朱雀の巫女よ、時空を超え、異世界を越え、主を必要とする世界へ飛び立て」


朱雀が空に飛び立つと、風が竜巻のように舞い上がり、空は紅く燃え、地面が揺らいだ。


柚は舞い上がる土煙や枯葉から身体を守るように両手を顔の前に上げた。


声を上げようにも、息すらできぬ疾風が身体を包み込む。


朱雀が太陽に向かって一直線に飛ぶと、柚の視界がぐにゃりと反転し、何かに吸い込まれるように身体が浮き上がり吹き飛んでいった。



――――――

おっといけない。


朱雀との出会いを早く読者の方に読んでいただきたくて、肝心の主人公についての説明がまだだった。


なぜこのような展開になったのか。


話を少し巻き戻し、朱雀と出会う前の様子をお見せしよう。
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