朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
上段の構えからの面打突が綺麗に入り、審判の旗が上がった。


その瞬間、割れんばかりの歓声が沸き起こる。


全国高等学校剣道選抜大会の優勝者が決まったのだ。


 両者共、蹲踞(そんきょ)して竹刀を納め、立ち上がり最後に一礼をして場外に出ると、「来るわ、来るわ」と客席から期待に満ちた声が上がり始めた。


勝者が面を外すと、光る雫のような汗が舞い、小瓜型の綺麗な顔が姿を現した。


すると客席から待ってましたと言わんばかりの黄色い歓声が上がった。


そして雪崩のように女子高生たちが勝者に詰め寄り、我先にタオルや水やらを渡し、口ぐちにお祝いの言葉を述べた。


 黒目がちの瞳に、筋の通った高い鼻、そして薄い唇が小さな顔の中に寸分狂うことなく綺麗に配置されている。


頭に巻いたタオルを取ると、漆黒のサラサラの髪が現れ、襟足から覗く、細く白い首が色気を醸し出し、少女たちの目には白馬に乗った王子様が目の前に現れたかのように映った。
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