朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
白袴に深紫の大袖を羽織り、冠(かん)を被った柚は、どこからどう見ても見目麗しい美少年のようだった。


その変貌ぶりに由良は思わず感嘆の息が漏れた。


「まあ、素敵。帝も女装すると絶世の美女になると聞いたことがありますが、柚様も男装すると麗しい好青年に変身できるのですね」


「やっぱり私は、ひらひらして動きづらい服より、男物の服の方が好きだな。着ていて安心する」


「夜には着替えてもらいますよ。帝の御前で男装した姿をお見せすることはできません」


「はいはい、分かってるよ」


「それではわたくしは他に仕事がありますので、一端下がらせていただきます」


「うん、私はいつものように庭で遊んでるよ。また夕方にな!」


 いそいそと下がっていった由良を見て、侍女も大変なんだなあと思った。


柚の世話だけでなく、宮内の掃除もしなければいけない。


休む暇があるのだろうかと心配になる。
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